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相続QA31

Q.老人ホームの入居を検討しています。注意すべき点はありますか?


老人ホームの相続税及び贈与税について

 
 
 高齢化社会が進展する中、老人ホームの数が急増しています。終の棲家が老人ホームになるケースも多くみられるようになり、相続・贈与税にも密接に関係するようになりました。
 そこで今回は、老人ホームに係る相続・贈与税として、入居一時金と小規模宅地等の適用についてご紹介します。


1.入居一時金と相続・贈与税

 有料老人ホームの入居に際して支払う費用は、①入居一時金、②介護のための費用、③管理費、④食費、⑤その他の費用があります。
 これらの費用のうち、①の入居一時金以外の費用については、月々またはその都度支払うものであり、その費用を夫婦間で負担しても通常課税関係は生じません。それはこれらの費用が、通常、贈与税の非課税所得である、「扶養義務者相互間において生活費等に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」に該当するためです(相法21の3①二)。
 これに対して、①の入居一時金は、前払金としての性格があり、一定期間内に契約が終了した場合には返還金等が支払われる旨が契約等で定められています。途中で退所する場合以外は、死亡により契約が終了することから、夫婦間での財産の移転にかかる相続税又は贈与税の課税関係が生じます。
 入居一時金の性格及び課税関係について、過去の裁決事例の判断基準を参考に簡単にまとめています。

(1) 入居一時金の性格  入居一時金は①入居から死亡までの前払家賃相当額、②ホームの建設費用や大規模修繕に当てられる費用、③専用居室や共用施設を利用する権利としての性格を持ち、近隣の家賃等や入居者の想定居住期間を勘案して算出されます。
 また、想定居住期間内に契約が終了した場合に契約者に支払われる返還金等の算定方法が、契約に明記されています。
(2) 契約形態による課税関係  入居一時金に係る権利が、その費用を負担した者から費用を負担しなかった配偶者に移転する時期は、契約の形態によって、入居一時金支払い時であるという考え方と、相続開始時であるという考え方があります。
 入居一時金を負担した者が、主契約者(入居者で入居一時金負担義務者及び返還金請求権者)である場合、入居一時金を負担した者の相続開始の時点で本来の相続財産として課税されます。
 例えば、夫婦で入居し、夫が入居一時金を全額負担しかつ主契約者である契約形態で、夫が死亡した時は、夫に係る返還金のみでなく、その時点での妻の入居に係る入居金返還金相当額を評価して、夫の相続財産に含める必要があるとされています(平18.11.29裁決)。
 これに対して、1人入居契約又は夫婦2人入居契約で入居一時金を負担した者以外の配偶者が主契約者である場合、入居一時金を支払った時点で夫婦間の合意により入居金相当額の金銭の贈与があったと認めるのが相当とされています。
この場合、その施設への入居が、社会通念上配偶者の日常生活に通常必要と認められるものであれば贈与税の非課税に該当し(平22.11.19裁決)、通常の生活費を超える豪華な施設の入居金と判断されるときは、贈与税の課税対象となります(平23.6.10裁決)(相法21の3①二)。

 表にまとめると以下のようになります。


 契約の形態  課税関係  評価額
 ①1人入居、2人入居
 入居一時金負担者=主契約者
 契約者分入居一時金
 負担者死亡時相続税課税  負担者の実際の返還金額
 ②2人入居
 入居一時金負担者=主契約者
 配偶者分入居一時金
 負担者死亡時相続税課税  相続開始時点の配偶者分一時金の 
 
返還金相当額
 ③1人入居、2人入居
 入居一時金負担者=主契約者
 以外の配偶者
 ・入居金支払時贈与税課税
 (社会通念上必要と認められる場合は非課税)
 ・入居者死亡時相続税課税
 ・贈与時:入居一時金額
 ・相続時:実際の返還金額
 ④入居一時金負担者=第三者等   なし
 但し求償権を放棄した場合はみなし贈与税課税 

 
(3) まとめ  夫婦2人入居契約では、入居一時金負担義務があり、かつ一時金返還請求者である主契約者を、実際に費用負担している夫にするか若しくは費用負担していない妻にするかで、課税関係が異なります。
 夫婦間の財産の移転については、相続税においては配偶者の税額軽減制度、贈与税においては扶養義務者の生活費相当額の非課税制度等、課税負担があまり生じないよう配慮されておりますが、社会通念上生活費として通常必要と認められるものを超えた豪華な老人ホームの入居一時金を負担している場合、通常の贈与と認定され、多額の贈与税が課税されることになります。
 老人ホーム入居に際しては夫婦間の権利関係をあいまいにせず、十分検討して契約する必要があります。


2.小規模宅地等の特例の適用

 被相続人が居住していた建物の敷地を、一定の要件を満たす親族が相続又は遺贈により取得した場合、その宅地等の一定部分について、相続税評価額が80%減額されます。
 しかし、被相続人が居住していた建物を離れ、老人ホームに入所したような場合、一般的には、それに伴い被相続人の生活の拠点も移転したものと考えられるため、80%の減額はできないこととされていました。
 平成25年度改正では、小規模宅地等の特例が大幅に改正され、従来小規模宅地等の対象外とされていた老人ホーム入居のケースも一定の要件のもと特例の対象とされることとなりました。
 以下改正前と改正後を比較しながら簡単にまとめています。

 (1)改正前
 従来は、老人ホームに入居した場合、条文上特定居住用宅地等に該当するか否かがあいまいで、国税庁の質疑応答事例において、以下の状況が客観的に認められる場合に、小規模宅地等の特例が受けられることとされていました。


 ① 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所したこと。
 ② 被相続人がいつでも生活できるように、その建物の維持管理が行われていたこと。
 ③ 入所後新たにその建物を他の者の居住の用に供していた事実がないこと。
 ④ 被相続人や親族が、老人ホームの所有権や終身利用権を取得していないこと。

 ※上記①において、特別養護老人ホームの入所者については、介護をうける必要がある者にあたり、その他の老人ホームの入所者については、入所時の状況に基づき判断します。


 (2)改正後
 以下の2つの要件を満たす場合に、小規模宅地等の特例を適用できることになりました。

 ① 被相続人に介護が必要なため、以下のいずれかの施設に入所したものであること。 
 イ) 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居
 ロ) 養護老人ホーム
 ハ) 特別養護老人ホーム
 ニ) 軽費老人ホーム
 ホ) 有料老人ホーム
 ヘ) 介護老人保健施設
  ト) サービス付高齢者向け住宅(上記ホ以外)
 チ) 障害者支援施設・共同生活援助を行う住居

 ② その家屋が事業の用又は被相続人以外の者の居住の用等に供されていないこと。

 本改正は、平成26年1月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について、適用されます。
 改正前は、老人ホームの所有権や終身利用権を持っている場合は、小規模宅地等の適用が認められませんでした。しかし、この度公布された政令で、適用対象となる老人ホームが具体的に明文化され、適用対象の老人ホームに入所する場合、「終身利用権」を取得しても小規模宅地等の適用が受けられることになりました。
 (措法69-4-1、措令40-2、H25.5.31政令169号)

 




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