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相続QA29

Q.所得拡大促進税制というものがあると聞きました。どのような制度ですか?


所得拡大促進税制(相続があった場合)について
 
 今回は、相続若しくは包括遺贈(以下、「相続等」という。)により、被相続人から事業所得を生ずべき事業を引き継いだ場合の各金額の計算方法についてまとめてみたいと思います。

1、概要  青色申告者である個人事業者が、平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各年(事業を廃止した日の属する年を除く。以下、「適用年」といいます。)において、事業所得を生ずべき事業を相続等により承継した場合に、以下の全ての要件を満たす場合には、その要件を満たした年分の所得税額から、雇用者給与等支給増加額の10%(事業所得の金額に係る所得税の額として一定の方法により計算した金額の10%を限度とするが、中小企業者については20%を限度)を控除することができます。

①その年の給与等支給額が基準雇用者給与等支給額と比較して5%以上増加していること
②その年の給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を下回らないこと
③平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を下回らないこと
④適用を受けようとする年分の所得税の確定申告書に、一定の事項を記載した明細書を添付すること


2、用語の意義
①雇用者給与等支給増加額
 雇用者給与等支給額-基準雇用者給与等支給額

②雇用者給与等支給額  各年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される国内雇用者に対する給与等(俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額を含む)の支給額をいい、当該個人事業主の国内事業所につき作成された賃金台帳に記載されたものをいいます。
 また、国内雇用者には親族等特殊関係者は含まれないため、これらの者に対して支給する給与や退職手当てを除いて判定等を行うこととなります。


③基準雇用者給与等支給額
 平成25年度における雇用者給与等支給額をいい、下記3、のそれぞれの場合に応じて計算を行うこととなります。

なお、相続等が無かった場合で、平成25年において事業を開始した場合には、平成25年度における雇用者給与等支給額を1年に引き直した金額(下記算式により計算した金額)を使用しますので、注意が必要です。

『平成25年度の雇用者給与等支給額×適用年度の月数/12』

また、平成26年以後に事業を開始した場合には、その事業を開始した年以後、最初に支給する年分の雇用者給与等支給額の70%に相当する金額(1年に満たない場合には、1年に引き直した金額)を、平成25年以前に事業は営んでいるものの、国内雇用者に対し給与等を支給していない場合には1円を基準雇用者給与等支給額として判定等を行います。


④平均給与等支給額 (雇用者給与等支給額-日雇労働者に係る支給額)/対象年度の各月毎の給与支給の対象となる国内雇用者数(日雇労働者を除く)

 また、比較雇用者給与等支給額及び、比較平均給与等支給額の計算については、別ページにまとめておりますので、そちらをご確認ください。



3、基準雇用者給与等支給額
 原則として、平成25年度における給与等支給額をいい、相続等があった場合には、その承継時期等に応じ、被相続人等の支給状況を考慮して計算を行います。まずは簡単にフローチャートにまとめてみましたので、ご確認ください。

基準雇用者給与等支給額

①承継事業を相続等により承継する前から、既に事業を営んでいた場合  A、適用年において、事業所得を生ずべき事業(以下、「承継事業」という。)を相続等により承継した場合。
 平成25年(個人が平成26年1月1日以後に事業を開始した場合には、その事業を開始した日の属する年。以下、A、Bにおいて「調整対象基準年」という。)における、下記ⅰ、ⅱに掲げる金額を合計した金額。

ⅰ、その個人の調整対象基準年に係る給与等支給額
ⅱ、その個人が調整対象基準年において事業を営んでいた月に係る被相続人等の月別給与等支給額を合計した金額に、個人がその事業を承継した日から当該適用年の12月31日までの期間の月数を乗じて、これを12で除した金額。


a

A、適用年において、事業所得を生ずべき事業(以下、「承継事業」という。)を相続等により承継した場合。

B、調整対象基準年の1月1日(若しくは事業を開始した日)から、適用年の前年12月31日までに承継事業を相続等により承継した場合。
調整対象基準年における、下記、ⅰ、ⅱに掲げる金額を合計した金額。

ⅰ、その個人の調整対象基準年に係る給与等支給額
ⅱ、その個人が調整対象基準年において事業を営んでいた月(承継事業を承継した日の属する月以後の月を除く。)に係る被相続人等の月別給与等支給額を合計した金額


b
B、調整対象基準年の1月1日(若しくは事業を開始した日)から、適用年の前年12月31日までに承継事業を相続等により承継した場合。

②承継事業を相続等により承継したことにより、事業を開始した場合

C、適用年において相続等により承継事業を承継した場合。
平成25年(被相続人が平成26年1月1日以後にその承継事業を開始した場合には、被相続人が当該承継事業を開始した日の属する年。以下、C、D及びE、において「調整対象基準年」という。)に係る給与等支給額については、下記により計算した金額。

被相続人の調整対象基準年における給与等支給額に、個人がその承継事業を承継した日から、適用年の12月31日までの期間の月数を乗じて、これをその調整対象基準年において被相続人が承継事業を営んでいた期間の月数で除して計算した金額。


c

C、適用年において相続等により承継事業を承継した場合。
      
D、平成26年以後に被相続人が開始した承継事業を、個人が相続等により承継したことにより事業を開始した場合で、かつ、被相続人がその承継事業を開始した日の属する年において国内雇用者に対して給与等を支給していない場合。

その個人の承継事業を承継した日の属する年以後の各年のうち国内雇用者に対して給与等を支給する最初の年(以下、「最初年」という。)に係る給与等支給額の100分の70に相当する金額(1年に満たない場合には、1年に引き直した金額)


d

D、平成26年以後に被相続人が開始した承継事業を、個人が相続等により承継したことにより事業を開始した場合で、かつ、被相続人がその承継事業を開始した日の属する年において国内雇用者に対して給与等を支給していない場合。
      
E、平成26年1月1日から適用年の前年12月31日までの期間内において相続等により承継事業を承継したことにより事業を開始した場合

被相続人の調整対象基準年における給与等支給額に12を乗じて、これをその被相続人が調整対象基準年において承継事業を営んでいた期間の月数で除して計算した金額


e
    
E、平成26年1月1日から適用年の前年12月31日までの期間内において相続等により承継事業を承継したことにより事業を開始した場合
 
F、調整対象基準年において承継事業を相続等により承継したことにより、個人事業を開始した場合

その個人の調整対象基準年における給与等支給額に12を乗じて、これをその調整対象基準年において個人が承継事業を営んでいた期間の月数で除して計算した金額。


f

F、調整対象基準年において承継事業を相続等により承継したことにより、個人事業を開始した場合
 
4、月別給与等支給額
 被相続人の調整対象基準年の給与等支給額をその調整対象基準年において被相続人が事業を営んでいた期間の月数で除して計算した金額をその調整対象基準年において各個人が事業を営んでいた月に係るものとみなしたものをいいます。






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