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相続QA09
Q.相続財産の大部分が不動産で、納税資金が足りません。何か方法はありませんか。
相続税の納税方法(延納及び物納について)
相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に被相続人の死亡時の住所地の所轄税務署長に申告し、金銭で納付するのが原則です。(相法27)
しかし、相続財産の大部分が不動産である場合には、納税資金が不足することも考えられます。
そこで、期限内に納付することが難しい場合や、換金の難しい財産がある場合を考慮して、延納や物納の制度が認められています。
【延納】
●適用要件
次の要件のすべてに該当する場合、相続税を分割で納めることができます。(相法38)
① 申告、更生又は決定により納付すべき相続税額が10万円を超えること
② 金銭で一時に納付することを困難とする事由があること
③ 金銭で一時に納付することを困難とする金額を限度とする
④ 原則として国債、地方債、不動産などの担保を提供する(ただし、延納税額が50万円未満かつ延納期間が3年以下の場合は担保は不要)
⑤ 相続税の納期限までに延納申請書を提出すること
●延納期間と利子率(相法52、措法70-10,11)
延納した場合は利息に相当する利子税を納めなければなりませんが、課税財産の価額に占める不動産の割合によって、延納期間と利子税率が異なってきます。
以下簡単に表にまとめました。
区分 | 延納期間 (最長) |
利子税 (年率) |
特例割合 (年率)※ |
||
課税相続財産に占める 不動産等の価額の割合 |
75%以上 | 不動産価格に対応する 相続税 |
20年 | 3.60% | 2.10% |
計画伐採立木 | 20年 | 1.20% | 0.70% | ||
その他の財産に対応する相続税 | 10年 | 5.40% | 3.10% | ||
50%以上 75%未満 |
不動産価格に対応する相続税 | 15年 | 3.60% | 2.10% | |
計画伐採立木 | 20年 | 1.20% | 0.70% | ||
その他の財産に対応する相続税 | 10年 | 5.40% | 3.10% | ||
50%未満 | 立木が30%超の場合の立木に対応する相続税 | 5年 | 4.80% | 2.80% | |
その他の財産に対応する相続税 | 5年 | 6.00% | 3.50% |
※平成22年4月1日現在の基準割引率(年0.3%)により算定した金額です。
【物納】
●適用要件
次の要件をすべて満たす場合は、相続財産そのもので納付(物納)することができます。
ただし、その場合の納付額は原則として相続税評価額となります。(相法41)
① 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があること
② 金銭で納付することが困難である金額の限度内であること
③ 相続税の納期限までに物納申請書を提出し、税務署長の許可を受けること
④ 物納できる財産であること
●物納できる財産(相法41②)
物納できる財産は、課税価格の計算の基礎となった財産又はその財産により取得した財産のうち、次の順序によることとされています。
① 国債及び地方債、不動産及び船舶
② 社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
③ 動産
ただし、上記①~③の財産でも、その内容や状態によって、物納に不適格な財産(管理処分不適格財産)及び物納の順位が劣後する財産(物納劣後財産)(相法41②,④、相令18,19)に該当する場合があるので、注意が必要です。
●利子税
物納申請した場合には、物納財産を納付するまでの期間に応じ、利子税が課されます。ただし、税務署の手続きに要する期間は、利子税が免除されています。
まとめ
延納及び物納について簡単にまとめましたが、実際の延納、物納の申請手続きは非常に煩雑となります。
特に物納については、物納できる財産が限定され、申請しても却下される可能性もあります。そのうえ相続税評価額が納税額となるため時価よりも低い場合が多く、納税者にとっては不利となってきます。
相続対策の一環として、納税資金をどのように手当するかについても十分に検討しておく必要があるでしょう。
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