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会計税務情報10

10 東京証券取引所の株式市場「TOKYO PRO Market」


1.はじめに
 東京証券取引所が運営する株式市場における上場企業数は2020年10月末現在、東証一部2,180社、東証二部480社、マザーズ333社、JASDAQスタンダード663社、JASDAQグロースは37社、TOKYO PRO Market39社となっております。今回は東京証券取引所の株式市場の中でも比較的新しい市場で最近注目されている「TOKYO PRO Market」について纏めてみたいと思います。

2.「TOKYO PRO Market」とは
「TOKYO PRO Market」は、日本やアジアにおける成長力のある企業に新たな資金調達の場と他市場にはないメリットを提供すること、国内外のプロ投資家に新たな投資機会を提供すること、日本の金融市場の活性化ならびに国際化を図ることを目的として開設されました。ロンドン証券取引所の運営するロンドンAIM における指定アドバイザー制度(Nominated Advisers)を参考として「J-Adviser制度」を採用するなど、機動性・柔軟性に富む市場運営の実現を目指しています。

3.「TOKYO PRO Market」の特色
 「TOKYO PRO Market」の特色は以下の点にあります。
 (1)柔軟な上場制度
   株式数や利益の額など上場時に求められる数値基準がありません。上場における審査は東京証券取引所から認証を受けた「J-Adviser」が上場適格性の有無を判断します。「J-Adviser」は、上場を希望する企業の上場適格性を評価(調査・確認)するとともに、上場までの過程において助言・指導を行い、さらに上場後も規則遵守や情報開示をサポートします。
 (2)上場コストに関する負担の軽減
   新規上場時の監査証明が1期分で足り、他の市場で求められる四半期開示や内部統制報告制度の適用は任意となっているため、上場準備及び上場維持にかかるコストが軽減されます。
 (3)プロ投資家向け市場
   当市場で買い付けができる投資家を「特定投資家等(プロ投資家)」(※)に限定することで自由度の高い上場基準・開示制度が可能となっています。
※<特定投資家等の概要>金融商品取引法第2条第31項、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第23条
「TOKYO PRO Market」の特色
※1:「特定投資家以外の法人」や「一定の要件に該当する個人」(※3)については、金融商品取引業者等への申出により、一般投資家から特定投資家への移行が可能です。(金融商品取引法第34条の3・第34条の4、金融商品取引業等に関する内閣府令第61条・第62条)
※2:「一定の要件に該当する個人」の範囲
・「一定の要件に該当する個人」
匿名組合の営業者、民法組合の業務執行組合員又は有限責任事業組合の重要な業務執行決定に関与し自ら執行する組合員である個人(出資合計額3億円以上の組合、全組合員の同意取得が要件)で、以下の要件全てに該当する個人をいいます。
・取引の状況その他の事情から合理的に判断して、純資産の合計額が3億円以上と見込まれること
・取引の状況その他の事情から合理的に判断して、投資性のある金融資産の合計額が3億円以上と見込まれること
・最初に当該申出に係る契約の種類に属する契約を締結した日から1年を経過していること

4.「TOKYO PRO Market」と他の市場の比較
  「TOKYO PRO Market」を東京証券取引所の他の株式市場の上場制度を比較すると以下のようになります。
「TOKYO PRO Market」と他の市場の比較
※1:TOKYO PRO Marketでは流通株式総額、利益額といった形式要件も設定されていません。
※2:TOKYO PRO Marketでは上場申請前にJ-Adviserによる意向表明手続きがあります。
※3:TOKYO PRO Marketにおいて監査証明は1期分のみ必要となります。
※4:TOKYO PRO Marketにおける開示については年度決算及び中間決算において求められます(開示単位=半期)。なお、その期限については遅くとも2か月以内の開示が求められると共に、内国会社においては東証の他市場に合わせて45日以内での開示が望まれます。

5.さいごに
  「TOKYO PRO Market」は他の市場とは上場のための要件が異なるものの、東京証券取引所の市場であることに変わりはありません。形式要件もないためオーナーシップを維持したまま、スピード感をもって上場することが可能です。そして他の市場と同様に上場することで、「信用力・知名度の向上」「従業員士気の向上」「組織力・成長基盤の構築」といったメリットも得ることができます。実際に「TOKYO PRO Market」から飛躍的な成長を遂げ、数年でマザーズへ市場変更した例もありますので 「TOKYO PRO Market」をIPOの足掛かりとして検討してみるのもよいかもしれません。

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